【調査レポート】Accenture Life Trends 2024 / Trend4. 「テクノロジーの飽和点」個人がテクノロジーの波に溺れる前に企業が果たすべき役割って?

[前回の記事 Trend3 : 「生成AI時代のクリエイティビティ」って? はこちら)
テクノロジーの飽和点:テクノロジーに支配される未来で、私たちはどう生きるべきか?
前回に引き続き、Accenture Life Trends 2024のレポートを元に、テクノロジーが私たちに与えている影響と、これからどう向き合っていくべきかを考えてみました。今回はTrend4「テクノロジーの飽和点」についてです。
ぜひ読んだ気になって帰ってください!
レポートはこちら
Life Trends 2024:ビジネスに影響を及ぼす5つのトレンド | アクセンチュア
今起きていること
テクノロジーが便利さや効率を提供してくれるのは事実。でも、今それに追いつけているかどうか、常に自分をアップデートしていかないといけない状況が続いてます。例えば、新しいアプリやSNSが次々に登場し、使いこなせていないと、まるで「情弱」と思われてしまうかのようなプレッシャーを感じます。みんながどんどん便利なツールを使いこなしてる中で、自分だけ取り残されてる気がして焦ることもあります。
「テクノロジーの進化は私たちの生活を台無しにしているのではないかと恐れている人の割合は、1990年から2020年までの30年間では4%の上昇でしたが、2020年から2022年までのわずか3年間で10%も上昇しました。」
特に、生成AI(ChatGPTなど)が登場してから、テクノロジーに対する恐怖が急激に増しているようです。
さらに、テクノロジーの進化が進む中で、職業に対する不安も大きくなってきています。例えば、私は子どもがいるので、これからどうなるのかなという漠然とした不安はよく頭をよぎります。どういった視点を大事に教育やアドバイスをするべきか、まだ答えのないまま毎日の生活が流れていきます。
「人々は自らの失業を恐れており、子供たちに対しても将来のキャリアについてどのようにアドバイスすれば良いかまったく分からない状態になっています。」
(閑話休題)子どもたちには、何が必要になるのか
絵を描く仕事や文章作成など、AIが急速に進化する中で、もしかするとそれ以外の仕事もAIが担い、人間が必要なワークは限られたものになるのではないかと思います。これまでの教育の枠組みでは、AIに取って代わられる仕事を選ばないようにといったアドバイスしかできなかったかもしれませんが、これからはAIと共存していくために、創造性や感情の力を育てる教育が必要になるのではないかと感じています。
例えば、絵を描く仕事や文章作成など、AIがその精度や効率性で優れている部分は多いですが、感動を与えるような作品を生み出すには、人間ならではの視点や感情が必要です。AIが学習するデータは、いわば人間がフィルタリングした「きれいなデータ」です。不適切な情報や間違ったデータにより誤った回答を出さないように調整された学習データは、別の側面からみると、「面白い」「尖った」アウトプットを出さないという特徴があり、ここに人間の最後の可能性を感じています。(が、このあたりもうまく取り込めるようになるのも、きっと時間の問題かもしれません)
そう考えると、AIを使いこなすだけでなく、AIにはない人間らしい部分を大切にしつつ、さらに何かAI社会で生き抜くための工夫が必要だと感じます。この最後の工夫する力は、技術に支配されているうちには培われないはずです。そして、今後は創造性や感情を育む教育が、子どもたちの未来にとって強みの1つになると感じており、希望を以って、これからの才能の在り方を考えなくてはいけないと強く思います。
人生のコントロールを失う感覚
テクノロジーが急速に進化し、人々の生活やタスクの複雑化が進んでいます。特に、複数のデバイスやアプリ、プラットフォームを使いこなすことが求められる現代において、これが精神的・肉体的な負担となり、自分の生活のコントロールを失っている感覚に繋がっています。人々はかつては単純だったことに対して、今では多くの情報や選択肢に圧倒され、テクノロジーに支配されている感覚を強く抱くようになっていますし、テクノロジーの進化が個々の生活に与える心理的な影響や、社会システムがそれに追いつけていないことへの懸念を感じています。
そういった中で、当然ながらテクノロジーから離れる動きも一部で見られ始めています。私も、ついスマホを手に取ってしまう自分にうんざりすることがあります。でも本当に新しいアイディアが浮かぶときって、意外とお風呂の中や一人の時間にぼーっとしてるときなんですよね。インプットばかりじゃなくて、自分の中でこねこねと考え、練りこむ時間がやっぱりいると感じており、自分の生活にもこういった"テクノロジーにコントロールされない時間"を意識的に生み出していかなければならない、とは思っています(実際はとても難しい)。
次に起こること
これからもテクノロジーの進化は止まらないだろうけど、問題はそれとどう共存するかです。レポートでは、"個人はテクノロジーに身を任せ続けるのか、それともコントロールを取り戻すのでしょうか?"という問いが提起されています。
テクノロジーの進化にただついていくのではなく、自分の意志で選択する力が大切だとレポートでは述べられています。
とは簡単に言いますが、選び取るためにはやはり知る行程は不可欠だな、と私は思います。今まで以上に「情弱」でいるわけにはいかないでしょう。知った上で、選択する。比較できるように、効率的に情報を入れていく。そして自分の中に、選択する時の軸をきちんと持っておく。軸をぶらさないための根拠や想いを固めておく。情報収集の段階では、生成AIも頼りになるでしょう。ですが、自分の選択を自分にとって間違えのないものにするためには、あくまで自分軸の確立が必要ではないかと思うのです。そしてここに生成AIは使えません。
新しいテクノロジーとの向き合い方を、自分なりにきちんと考えたいです。
その他、レポートでは以下についても語られていました。
- ビジョンなしに、なすがままにテクノロジーが作る未来に身を委ねてはいけない
- 人々は自らのウェルビーイングに責任を持って、テクノロジーと共存していかなくてはいけない
- 全ての責任を個人に追わせるべきではなく、規制も追いつくべき
- 企業は、その一端を担って、人々が自らの意志で意図的に体験を選び取れるように、支配するのではなくサポートする
経営層が着目するべきTrend4のポイント
- テクノロジーへの依存の限界: 進化するテクノロジーが生活を便利にする一方で、人々はその便利さに圧倒され、テクノロジーの使用に限界を感じています。
- 精神的ウェルビーイングとテクノロジー: テクノロジーが精神的な負担を増す一因となっていることに対し、ウェルビーイングを守るための適切な対応が必要だという点。
- デジタルデバイド(情報格差)の広がり: テクノロジーについていける人とそうでない人の間に新たな格差が生まれ、これに対する企業の対応が求められています。
- 企業の役割: テクノロジーがもたらす摩擦や複雑さを解消し、顧客や従業員にとって使いやすいテクノロジーの提供が求められています教訓は、テクノロジーを進化させるだけでなく、その導入や利用による社会的影響を適切に管理することが企業の責任だという点です。特に、顧客と従業員の精神的ウェルビーイング**を守るための戦略が、今後の企業運営において重要であるとされています。
つまり企業は、テクノロジー導入に対し以下の責任も意識しなければなりません:
- テクノロジーの進化を社会的にサポートし、利用者が負担を感じないように工夫すること。
- デジタルデバイドの解消:企業は、テクノロジーの進化が全ての人に平等に恩恵を与えるように取り組む必要がある。
- 精神的ウェルビーイングへの配慮:テクノロジーを使いこなすための支援を行い、過剰な負担を避けるための方法を模索すること。
自分のテクノロジーとの在り方を考える上でも、面白い章でした。
経営者やコンサルタント目線で考えると、企業が顧客に対して与えるテクノロジーの影響というのを、コスト等の観点以外で再考するきっかけとなる章だったと思います。ある意味、顧客エクスペリエンスの1つではあるのですが、社会的顧客エクスペリエンス、とでも言いましょうか。。。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回は最終章、Trend5.「成功神話の解体」で、人々のキャリアや社会的な地位などの成功の定義がかわる時代について、を読んでみたいと思います。お楽しみに!